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さて過日、3月31日に鶴橋で在特会らによるヘイト街宣が懲りずに行われるという
情報を手に入れた『友だち守る団』は、わたしを含めた中心メンバー数人でカウンター
行動をどうすべきかの打ち合わせを大阪某所で行っていた。ひととおり打ち合わせも
すんだところで「友だち守る団の公式ブログをもう少し更新しなければ」ということに
なり、順番でコラムのようなものを書くことになったのだが、トップバッターは代表だ
からと、わたしがする羽目に。実は『友だち守る団』の面々というのがマジメな人たち
ばかりで、どうにも堅いところがある。おそらく他の人によるコラムはカチンコチンと
音が鳴りそうなものばかりになるだろうから、せめてわたしくらいは肩の力が抜けて
笑みのこぼれる読み物にしたいとおもっている。
ところで14日に行われた有田芳生氏の呼びかけによって参議院議員会館で行われた
「排外・人種侮蔑デモに抗議する国会内抗議集会」のことは、すでにご存じの方が多い
こととおもう。まだ知らないという方のために簡単な説明をすると、在特会らを中心と
する「行動する保守」を自称した連中が行っている新大久保や鶴橋などでの差別デモや
ヘイト街宣が、ここにきてようやく参議院議員である有田氏によって取り上げられる
ことになり、議員会館講堂で開かれたものだ。わたしとしては常日頃から親しくして
いるジャーナリストで『ネットと愛国』の著者である安田浩一氏や、京都朝鮮学校襲撃
事件で活躍し、『友だち守る団』にも大いに協力してくれている弁護士の上瀧浩子氏が
演壇に座るということに加えて、京都朝鮮学校襲撃事件で被害を受けた当事者になる
龍谷大学法科大学院教授の金尚均氏も列席とのことだったので、集会の成り行きには
期待感を多少なりとも持っていた。
集会は有田氏らの型どおりの挨拶が終わって本題に入ると、まず安田浩一氏が在特会を
はじめとする「ネトウヨ」と呼ばれる存在の成り立ちと彼らの行状や運動原理、組織の
内情や批判を、短い時間で的確に初心者でもわかりやすく話をしていた。これまでネト
ウヨの連中や右翼と呼ばれる相手と議論をする場だとかに数多く出向いたり、差別デモ
やヘイトスピーチについての講演をしているだけあって、実にこなれた説明であった。
おそらく好きな酒も控えめにして、この日に十分備えていたのだろう。それに隣席には
女傑の上瀧氏が陣取っている。もたもたと手間取るようなことがあれば、それこそ尻を
ひっぱたかれたに違いない。安田氏もおちおちと…は冗談だが、意気ごみがひしひしと
伝わる話しぶりであった。続いた上瀧氏、金氏も自らの体験をふまえたうえで、専門の
法律解釈と適用性について実に有意義な内容を場内の参加者や聴衆に訴えていた。
しかし、だ。そのあとの一水会顧問の鈴木邦男氏が、あの曲者な朴訥とした人懐っこい
風貌をオブラートにして、意図があるのかないのか惚けた調子で同化レイシズムへと
つながる発言をすると、せっかく場内で醸していた、よい緊張感と流れを変えてしまう
ではないか。さらに目も当てられないのが、次の一水会代表の木村三浩氏であった。
「日本国に愛着を持つ一人の人間として(在特会に)非常に怒りを持った…」までは
よいにしても「レイシストにも品格というのがある。在特会みたいなのはレイシストと
呼べるものじゃない。レイシズムはあっていいが、あんなのをレイシストとか右翼とか
呼んでほしくない」うんぬんには、もはや怒りを超えて呆れるほかない。場内も失笑に
誘われ一気に茶番でも楽しむかのような空気になってしまった。
話によると、この院内集会を開催するにあたって有田議員は事もあろうか、まず最初に
一水会の木村三浩氏と相談して、鈴木邦男氏と二人が出席することを決めたのちに安田
氏や上瀧氏、金氏を呼ぶという、集会の趣旨を考えるなら、あべこべなものであったと
いう。また、選挙運動の一環的な意識の議員が参加するのも、見ると鼻白むしかない。
なにより在特会の生みの親のような西村修平という人物まで出席させよという声には、
いったい集会の目的は何なのかと問いたくなる。まさか、ここまで悪質になった在特会
たちの言動を放置した、あるいは「利用してきた」ことへの弁明や責任回避をする場に
でもしたいのか。少々うがった視線かもしれないが、今回の集会に期待していただけに
落胆もなくはない。だが、有田氏の言うように今後も継続して開かれるのなら、無責任
な連中の、まるで木枯らし紋次郎の決め台詞「あっしには関わりのないことでござんす」
みたいな、臆面もないうそぶきで起こる風に進むべき方向を見失わないでほしいものだ。
春に木枯らしなんて、似つかわしくない。
2013/03/16 凛七星