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【4月27日 梅田】
この日、空は青く晴れ、街はゴールデンウィーク直前の、どこか浮足立った雰囲気さえある
表情を見せているのを眺めながら「あぁ、なんか楽しいことしたいもんだぁ」とボヤキつつ、
わたくしは地下鉄の駅を出ると開発の著しい梅田界隈を阪急百貨店の南側をめざして歩いた。
このところ毎週のように続く在特会らの差別デモ・ヘイト街宣にカウンターをかけるためで
ある。「ったく、いいかげんにしてほしいぞ」とこぼしつつ歩道橋がデパートとつながって
いるあたりに行くと、すでに警察官の姿が物々しい。どうも空気が、いつも以上に不穏だな
なと辺りをうかがいつつ、先に着いて警備担当者とおぼしき人物と話をする友だち守る団の
メンバーのところへ。そのとき「あっ!」と声を出しそうになった。公安の三本線が出動を
しているじゃないか!「三本線」とは逮捕命令を出す権限のある重職。そりゃ空気も初夏だ
というのに凍るはな、と合点が。当日の大阪府警は逮捕する気がまんまんだったのですよ。
とはいえカウンター側が待機していた場所は、在特会らの街宣しているところから、かなり
離れた場所の歩道橋上。トラブルが起こりようもない位置関係なのに、こりゃまたどういう
風の吹きまわし?と、警備担当者らと話してみたらば、なんだなんだ。いつも以上に強硬な
態度じゃないか。そして出してきた指示が「プラカードを在特会らに向けるな」「抗議する
声を出すな」「通行人のジャマになるから、あれダメこれダメ」と、もうムチャクチャな話
ばかり。これは「逮捕ありき」な規制だなと判断せざるをえないものだった。そんながんじ
がらめの中で、カウンター側はサイレントで通行人に向けてアピールするしかできず、参加
してる人たちの顔にもフラストレーションがありあり。ときおり、わたしが反レイシストの
旗を遠くの在特会の連中に見えるよう振ったり、数人で単発的に声を上げるものの、すぐに
制止される始末。いくら抗議しても通るはずもなく、また執拗な態度をすると逮捕の可能性
が高いので適当に切り上げる。途中、わたくしたちの側で在特会らの街宣に拍手をする初老
の男女が。「トラブル防止というなら、早く連れて行け」と警察にクレーム。これについて
は、渋々といった顔で対応する。
遠くで目視による確認では在特会側は20名弱。地団太踏むような腹立たしい気持ちを抑え
カウンターをする側が40名ほどか。なす術なく抗議が終わると、遠くで告知ビラを配って
いた人たちに行動終了を伝えに行く。そのとき、阪急の駅付近で先ほどまで怪気炎を上げて
いた初老の右翼らしき人物の2名と出くわしたので「ガンを飛ばす」が目も合わせず無言で
そそくさと去っていった。唇を噛みつつ、静かなカウンターというよりは告知活動をするに
終わる週末の午後。あぁ、このどうしようもない虚無感。。。
【4月28日 なんば】
前日、梅田での砂を噛むような気分を解消できぬまま、翌日はミナミでのカウンター活動へ
行くことに。この日も実にビューティホーな天候の一日なれど、こころ模様は曇りがちで。
とにもかくにもってことで差別デモをカウンターで迎え撃つ道頓堀橋へと赴いた。前回など
は駅を出たとたん公安数名に取り囲まれ「なんなんだよ」な質問を受けていたが、この日は
そんな姿がなく「あれれ?」と、ある意味で拍子抜け。まさか前日やりすぎたからってこと
で、警察が反省をした…なんてことはないよなぁと訝りつつ、目的の場所へと足を運んだら
、そこにはもう顔なじみとなった面々の姿が目に入る。こうして、せっかくの週末をつぶし
て、抗議の声を上げるため集まってくれる人たちがいることに感謝するし、元気をもらえる。
やがてカウンター側が集まりだすも、さすがにゴールデンウィークに突入したこともあって
参加者は前回に比べ半分くらいで40名ほど。前日のメンバーと、ほぼ変わらないメンツだ。
いつものように在特会のデモが来るまで、警察との話し合いをする。前日の梅田ほどの厳戒
体制ではないものの、それでもカウンター側は狭いスペースに圧しこまれ、トラメガの使用
などはダメだと「指導」をされる。もう慣れてしまったとはいえ、この対応はどうしたもの
だろう。御堂筋のような幅広い道路の反対側歩道でしか抗議行動を認められていないのだ。
これではこちらの声など差別デモの拡声器から流れる罵詈雑言で全く届かないではないか。
まぁ、それが警察の狙いなんだが。毎度のことだがストレスがたまるばかりだ。そんな中で
友だち守る団のメンバーが、道頓堀橋上で待機するカウンター側の横に元在特会大阪支部長
の通称・獅子座なおと、元在特会奈良支部長の中野亘がいることを発見。なにを狙っていた
のだろう。ともかくデモが来る前には、どこかへ立ち去ったのが印象的だった。
そうこうするうちに差別デモの御一行がやってくる。と、警備する警官たちのカウンターを
包囲するラインが一気に近づいてきた。ただでさえ反対側歩道にいるのに橋の欄干まで圧し
とどめようとするんだな。抵抗するも、せいぜい数歩前進程度。こういう腹だったのかと、
舌打ちし顔をしかめた。デモの人数は60名ほどか。一時に比べて半減したものの、連中に
効果的なカウンターをするには、新大久保のように圧倒的多数で叩かなきゃならないんだが
と、しまりのないデモが通過する様子を眺めながら胸の内でつぶやいていた。道頓堀橋から
在特会らの姿が見えなくなると、次の街宣に対する打ち合わせをすませて千日前へと移動。
ここでもカウンターの主力部隊は道路を挟んだ反対側に。しかし、ここも道幅が広いうえに
中央分離帯があるせいで、互いの様子が見えにくい。そして、またも狭い一角にカウンター
側は寄せ集められてしまう。周囲からは商業施設のスピーカーから大音量で宣伝や音楽が。
これではカウンターにならないと、主に通行する人たちへの告知に活動の主眼を置くことに
した。
街宣の参加者は約20名。カウンター側は30名ほど。ところで街宣が始まって間もなく、
カウンターの背後に「デマ飛ばし屋」川東を含む一団がこそこそと近づいてきて、警備側と
もみ合いに。それはいいんだが、そのときの警察側からの文句にカチンとくるもの。ブラカ
や旗はおろせ、静かにしろと、カウンター側を取り締まることが当然といった様子に抗議を
するものの、ともかくいうことを聞けという態度。さすがに頭に血が上り、逮捕されていい
から、連中をしばきあげようかとおもったが、わたくしも身動きがとれないポジションに。
けっきょく大きなトラブルにはならなかったが、あんなことをカウンター側がしたら一発で
逮捕になるんじゃないかと警察に文句を言った。トラブルと言えば街宣をする在特会側では
通行人のオバチャンを襲撃したガルーダという人物が署に連行された。最終的には罪を問わ
れず、釈放されることになったが。とにもかくにも消化不良気味な2日間だった。
【5月5日 三宮】
ゴールデンウィークも終盤になった当日の三宮街宣は、定例のもので規模も小さく、当初は
無視するつもりだったが、在特会の代表である通称・桜井誠が来るという話を聞き、いつも
のカウンター活動ではなく、とりあえず様子を監視するということで現地へ向かった。街宣
は想像どおりショボショボなもので、わたくしは正面で桜井に呼びかけたのだか、まったく
目も合わせようとしてくれない。しょうがないから川東を呼んで説教をしたものの、会話が
全然噛み合わない始末。おまけに警察よりも味方側から5、6名で行動を止められてしまい、
なんだかなぁと。フランスからのお客さんは「カウンター側はおとなしいね。警察はヘイト
スピーチをする側より抗議する方を取り締まっている印象」という感想だったので、いつも
とは違うスタイルで、言わば「熱視線しばき」みたいなもんだと伝えてもらった。しかし、
こういうやり方もあるなという参考にはなった。
【5月6日 鶴橋】
在特らのスケジュールには出ていなかったけれど、川東が道路使用許可を取っている情報を
耳にしたのと、前日には三宮で桜井が登場したこともあって街宣を警戒して、友だち守る団
のメンバーで正午から夕方まで監視をすることに。ゴールデンウィーク最終日も、すこぶる
天気がよく、わたくしたちは何をしてんだろ?と、おもいつつムダな一日を過ごしてしまう。
とりあえず何もなかったのは、よろこぶべきことなのだろう。
時間がずいぶん経過して、ごく簡単な報告になってしまい申し訳ありません。
5月22日 代表 凛七星
さて過日、3月31日に鶴橋で在特会らによるヘイト街宣が懲りずに行われるという
情報を手に入れた『友だち守る団』は、わたしを含めた中心メンバー数人でカウンター
行動をどうすべきかの打ち合わせを大阪某所で行っていた。ひととおり打ち合わせも
すんだところで「友だち守る団の公式ブログをもう少し更新しなければ」ということに
なり、順番でコラムのようなものを書くことになったのだが、トップバッターは代表だ
からと、わたしがする羽目に。実は『友だち守る団』の面々というのがマジメな人たち
ばかりで、どうにも堅いところがある。おそらく他の人によるコラムはカチンコチンと
音が鳴りそうなものばかりになるだろうから、せめてわたしくらいは肩の力が抜けて
笑みのこぼれる読み物にしたいとおもっている。
ところで14日に行われた有田芳生氏の呼びかけによって参議院議員会館で行われた
「排外・人種侮蔑デモに抗議する国会内抗議集会」のことは、すでにご存じの方が多い
こととおもう。まだ知らないという方のために簡単な説明をすると、在特会らを中心と
する「行動する保守」を自称した連中が行っている新大久保や鶴橋などでの差別デモや
ヘイト街宣が、ここにきてようやく参議院議員である有田氏によって取り上げられる
ことになり、議員会館講堂で開かれたものだ。わたしとしては常日頃から親しくして
いるジャーナリストで『ネットと愛国』の著者である安田浩一氏や、京都朝鮮学校襲撃
事件で活躍し、『友だち守る団』にも大いに協力してくれている弁護士の上瀧浩子氏が
演壇に座るということに加えて、京都朝鮮学校襲撃事件で被害を受けた当事者になる
龍谷大学法科大学院教授の金尚均氏も列席とのことだったので、集会の成り行きには
期待感を多少なりとも持っていた。
集会は有田氏らの型どおりの挨拶が終わって本題に入ると、まず安田浩一氏が在特会を
はじめとする「ネトウヨ」と呼ばれる存在の成り立ちと彼らの行状や運動原理、組織の
内情や批判を、短い時間で的確に初心者でもわかりやすく話をしていた。これまでネト
ウヨの連中や右翼と呼ばれる相手と議論をする場だとかに数多く出向いたり、差別デモ
やヘイトスピーチについての講演をしているだけあって、実にこなれた説明であった。
おそらく好きな酒も控えめにして、この日に十分備えていたのだろう。それに隣席には
女傑の上瀧氏が陣取っている。もたもたと手間取るようなことがあれば、それこそ尻を
ひっぱたかれたに違いない。安田氏もおちおちと…は冗談だが、意気ごみがひしひしと
伝わる話しぶりであった。続いた上瀧氏、金氏も自らの体験をふまえたうえで、専門の
法律解釈と適用性について実に有意義な内容を場内の参加者や聴衆に訴えていた。
しかし、だ。そのあとの一水会顧問の鈴木邦男氏が、あの曲者な朴訥とした人懐っこい
風貌をオブラートにして、意図があるのかないのか惚けた調子で同化レイシズムへと
つながる発言をすると、せっかく場内で醸していた、よい緊張感と流れを変えてしまう
ではないか。さらに目も当てられないのが、次の一水会代表の木村三浩氏であった。
「日本国に愛着を持つ一人の人間として(在特会に)非常に怒りを持った…」までは
よいにしても「レイシストにも品格というのがある。在特会みたいなのはレイシストと
呼べるものじゃない。レイシズムはあっていいが、あんなのをレイシストとか右翼とか
呼んでほしくない」うんぬんには、もはや怒りを超えて呆れるほかない。場内も失笑に
誘われ一気に茶番でも楽しむかのような空気になってしまった。
話によると、この院内集会を開催するにあたって有田議員は事もあろうか、まず最初に
一水会の木村三浩氏と相談して、鈴木邦男氏と二人が出席することを決めたのちに安田
氏や上瀧氏、金氏を呼ぶという、集会の趣旨を考えるなら、あべこべなものであったと
いう。また、選挙運動の一環的な意識の議員が参加するのも、見ると鼻白むしかない。
なにより在特会の生みの親のような西村修平という人物まで出席させよという声には、
いったい集会の目的は何なのかと問いたくなる。まさか、ここまで悪質になった在特会
たちの言動を放置した、あるいは「利用してきた」ことへの弁明や責任回避をする場に
でもしたいのか。少々うがった視線かもしれないが、今回の集会に期待していただけに
落胆もなくはない。だが、有田氏の言うように今後も継続して開かれるのなら、無責任
な連中の、まるで木枯らし紋次郎の決め台詞「あっしには関わりのないことでござんす」
みたいな、臆面もないうそぶきで起こる風に進むべき方向を見失わないでほしいものだ。
春に木枯らしなんて、似つかわしくない。
2013/03/16 凛七星